データセンター、パワー半導体、バッテリー、LEDなどでは、小型化、高性能化などに伴う機器の発熱密度の急増が問題となっており、高性能な熱制御機器の開発が急務となっています。特に、カーボンニュートラルの観点から省エネルギーな機器が要求されます。そのため本研究では、電力なしで動作できる熱輸送デバイス、ループヒートパイプ(LHP)に注目しています。LHPは、多孔体で働く毛細管力によって流体を循環させ、蒸発と凝縮によって熱を輸送します。多孔体を設置している蒸発器では、相変化を伴う多孔体内気液熱流動という物理に支配されています。我々はこれまでにこの蒸発器の物理現象の解明に取り組み、独自の蒸発器形状の設計方法を保有しています。さらに多孔体の微細構造を制御することによって、さらなる高性能化を達成することにも取り組んでいます。これまで得た知見を活用して、太陽熱利用などの応用にも取り組んでいます。